太古の昔から親しまれてきた「ハチミツ」
「ハチミツ」は私たちの身近に当たり前にある食材として親しまれています。
ハチミツと聞いて何を思い浮かべますか?「お砂糖の代わりに使う甘味料」でしょうか?
ハチミツは古代エジプトや中国、インドの「アーユルヴェーダ」でも医薬として重宝されてきました。クレオパトラが美しさを磨くのにお風呂にハチミツを入れていたという話は大変有名です。
ハチミツの栄養成分
ハチミツは栄養豊富で、クエン酸、グルコン酸などの有機酸やアミラーゼなどの酵素類、ビタミンB1、B2、B6、ニコチン酸、葉酸、パントテン酸、コリンなどのビタミンB群などを含み、アミノ酸全20種類、カルシウム、鉄、銅、マンガン、カリウム、マグネシウムなどのミネラル類やポリフェノールなど様々な栄養素を含んでいます。
※蜜源となる植物・環境により、含まれる成分は異なります。
ここ数年、ハチミツが医療分野でも再び見直されており、様々な研究や書籍が発表されています。ハチミツパワーにはどういったものがあるのでしょうか?
ハチミツパワーが体に与える良い影響7選!
① 疲労回復
ハチミツに含まれる「ブドウ糖」、「果糖」、「ビタミンB1」は疲労回復に良いとされています。ハチミツの主成分であるブドウ糖や果糖は単糖類でこれ以上消化の必要がなく、胃に優しく、すぐ体に吸収され、疲労回復に即効性があります。また、ブドウ糖は牛乳などに含まれるトリプトファンを身体に吸収されるのをサポートします。そのためストレスを緩和するセロトニンの分泌を促進し、安眠効果をもたらし、疲労回復につながります。
またイオン飲料として使用するのも最適です。ブドウ糖をはじめ、ビタミンやミネラルなども豊富なため、熱中症対策や発熱時にすぐに体に吸収され、栄養補給できます。しかし、ハチミツはビタミンCだけは十分含まれているとはいえないので、レモンやライム果汁などを加えると良いそうです。
② ダイエットをサポート
ハチミツは白砂糖に比べ低カロリーです。(100gあたり)
●ハチミツ:294Kcal
●白砂糖:384Kcal
また、ハチミツは白砂糖の1.3倍甘みを感じるため、少ない量で十分甘みを感じることができます。そして、白砂糖に比べGI値が低く、血糖値が上がりにくく、ブドウ糖や果糖はすぐに体に吸収され、エネルギーに変換されるため、脂肪になりにくい性質を持っています。
③ 風邪の予防
ハチミツには高い殺菌作用があります。ハチミツに含まれるグルコン酸の殺菌力にプラスし、グルコースオキシダーゼという酵素が強い殺菌力を持つ「過酸化水素」という消毒液のオキシドールにも使われている成分を作り出し、非常に高い殺菌作用があることが近年、分かってきました。
また昔から「風邪にはビタミンC」と言われていますが、そのビタミンCにも「過酸化水素」があり、ハチミツとビタミンCを両方摂取することで、より風邪の予防に役立ちます。
④ 咳止め
市販の喉飴にもよくハチミツ入りの製品が出ている通り、ハチミツには咳止めの効果があります。前述の高い殺菌作用に加え、ハチミツの糖分には高い保湿効果があり、ハチミツの粘度が長時間喉の粘膜にとどまるため、喉を乾燥から保護します。
⑤ 整腸作用
ハチミツに含まれるオリゴ糖やグルコン酸は腸内の善玉菌を増加させ、悪玉菌を減少させます。またハチミツを継続的に摂取することは大腸がんの予防効果があるという研究結果も出ています。ハチミツの過酸化水素による抗菌作用は善玉菌を傷つけることなく、悪玉菌を減らすことができ、下痢にも便秘にも効果的です。
⑥ スキンケア
ハチミツにはスキンケアにもぴったりです。
ハチミツの殺菌作用でアクネ菌などを殺菌し、肌を清潔に保ちます。またハチミツには前述にもあるように保湿効果もあり、肌を乾燥から守り保湿してくれます。
ハチミツと水にビタミンCをプラスして化粧水にしたり、ハチミツをそのままクレンジングとして使用したりと様々な使い方が可能です。
引用元:『ひとさじのはちみつ 自然がくれた家庭医薬品の知恵』|前田京子 著
⑦ 傷・やけどの修復
ハチミツには傷を修復する効果もあります。現在でも日本薬局方よりハチミツが医薬品として販売されています。効果効能として「栄養剤,甘味剤,口唇の亀裂・あれ」と記載もされています。ハチミツの高い殺菌作用と保湿力で傷を修復します。また、消毒液ほど傷にしみて痛くなることもありません。
ハチミツに含まれる過酸化水素の抗菌作用は熱・光・空気に対して不安定なので、冷暗所に保管するのがおすすめです。
ハチミツの選び方!
ハチミツは広く出回っていますが、注意が必要です。
ハチミツの種類には3つあります。
① 加糖ハチミツ
ハチミツに水あめなどをまぜたもの。
② 精製ハチミツ
加熱により脱色や脱臭したもの。
③ 純粋ハチミツ
加熱などの加工をしていない純粋なハチミツ。
加糖ハチミツは商品を安価にするため水あめなどを混ぜて販売している加工品です。
商品の中には、ほとんどが水あめで、ハチミツは少量という商品もあり、そのような商品は、ハチミツの本来持っている栄養素はほとんどありません。
また、精製ハチミツは、加熱することで大量生産と安定的な供給を可能にしています。加熱されたハチミツは熱に弱いビタミン、酵素などが失われ、ハチミツ本来の栄養が失われています。
しかし、加工されていないとされる純粋ハチミツも油断できません!
純粋ハチミツと言いながら加工されたハチミツが多く出回っています。
全国はちみつ公正取引協議会という組織団体があります。
(全国はちみつ公正取引協議会HPより引用:http://honeykoutori.or.jp/)
「景品表示法第11条第1項の規定に基づき認定を受けたはちみつ類の表示に関する公正競争規約を効果的に運用する事で、不当な顧客誘引の防止、消費者の自主的かつ合理的な商品選択に資すると共にはちみつ類の取引の公正化を図り、もって国民の食生活の向上とはちみつ業界の健全な発展に寄与する事を目的とする自主規制団体です。」
ハチミツは一定の基準を設けられており、「淡黄色ないし暗褐色のシロップ上の液で特有の香味があり、早晩結晶を生ずるもの」、「水分20%以下」、「果糖及びぶどう糖含有量(両者の合計)60g/100g以上」という規定があります。
しかし、全国はちみつ公正取引協議会には特に加入する義務もありませんし、加入しなければいけない等の罰則もありません。
また、『ハチミツの「危ない話」/川島茂 著』によると全国はちみつ公正取引協議会の規約では加糖ハチミツ精製やハチミツである「ハチミツ加工品」であっても一定の基準を満たせば「蜂蜜」として「公正取引」のマークが付けられるそうです。
そのため市場には「ハチミツ加工品」が「純粋ハチミツ」として広く販売されており、本当の「ハチミツ」と見分けるのが非常に困難な状況なのです。
ハチミツパワーの恩恵を受けたいのであれば、「生ハチミツ」がおすすめです。
「生ハチミツ」とは?
生ハチミツとは「非加熱」であるということです。
「非加熱」とは全ての製品工程において低温(45度以下)で管理されているものを示します。ハチミツに限らず、熱処理をしてしまうと、ビタミン、ミネラル、酵素などは壊れてしまいます。そのためハチミツから得られる効果は全く受けられなくなってしまいます。
ハチミツは種類や温度等により結晶化することがありますが、液体に戻す場合でも60度のお湯で湯煎し、ハチミツ本体の温度が45度を超えないようにするとビタミンなどが壊れません。
最後に
ハチミツにはたくさん種類があり、採れた地域や花の種類などにより味や色も様々です。
その日の気分や自分のお気に入りのハチミツを見つけるのも楽しみの一つです。
またマヌカハニーをはじめ、現在、様々な地域でハチミツの研究がすすめられており、注目されています。
しかし注意も必要です。1987年10月以降、厚生省により1歳未満の乳児にはハチミツを与えないよう、通知しています。ハチミツにはボツリヌス菌という食中毒を引き起こす可能性のある菌が含まれている可能性があり、感染すると、乳児ボツリヌス症を引き起こす恐れがあります。
大人の場合は全く問題ありませんが、乳児は抵抗力や免疫力、消化器官の未発達のため、与えないようにしましょう。